不動産売買仲介営業の歩合制度とは?インセンティブの実例から見る収入のリアル

  • 不動産売買仲介営業は“歩合で稼げる”と聞くけど、実際どのくらい貰えるのかがわからない
  • インセンティブの仕組みが複雑で、どれだけ成果を出せばどれだけ収入が増えるのか不安
  • 高収入を目指したいけど、現実とのギャップがないか事前に知っておきたい
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不動産売買仲介営業は「稼げる」とよく言われますが、その根拠になっているのが歩合(インセンティブ)制度です。

成果に応じて給与が変動するという仕組みは、やる気次第で収入が青天井になる一方、制度の内容によってはかなり差が出るのも事実。

この記事では、実際の不動産会社の歩合制度を実例とともにご紹介しつつ、「自分にとってどの制度が合っているのか?」を見極めるヒントをお届けします。

本記事の執筆・監修

荒川 竜介(あらかわ りょうすけ)

未経験から売買仲介営業での成功まで導きます!


中堅デベロッパーから不動産売買仲介(上場企業)、不動産テック役員など、新卒から15年以上不動産業界に携わる。これまでのキャリアから大手不動産仲介・FC本部など業界への繋がりも豊富。

未経験者をたった2年目で年収1,800万円達成までサポートした実績あり。

転職コラムはすべて本人の経験をもとに執筆。

不動産売買仲介営業の歩合は売上から算出される

まず理解しなければいけないことは、不動産売買仲介の「売上=仲介手数料」ということです。

下図の青枠部分が仲介手数料(売り上げ)に当たる部分です。

仲介手数料は売買代金によって異なる。

売買代金(税抜き)仲介手数料(税抜き)
200万円以下5%以内
200万円超え400万円以下4%+2万円
400万円を超える3%+6万円

※上記にそれぞれ消費税を加算する

3000万円の物件を片手仲介した場合の仲介手数料(売上)は?

3000万円×0.03+6万円=96万円

この96万円が売買仲介営業マンの売上になります。

「売上=売買代金(不動産価格)」と勘違いしないようにしましょう。

不動産売買仲介営業の年収における歩合比率とは?

不動産売買仲介営業の年収は、売上(=粗利)に対して20〜30%程度に収まることが多いです。

つまり、売上が高ければその分歩合も大きくなり、年収は跳ね上がります。しかし、同じように売上を出していても、どの会社に所属しているかによって年収に大きな差が出るのはこの歩合制度に違いがあるからです。

【実例①】サポートが手厚い会社(関西の地方都市20人程度の不動産会社)

▼給与体系

基本給月給23万円(固定残業・各種手当含む)
歩合支給半期ごとの売上に応じて変動

▼歩合の仕組み

❶売上500万円以下 歩合支給なし(足切りライン)
❷500万〜1,000万円 500万を超えた部分に対して10%支給
※800万売上の場合、800万-500万の差額300万の10%で30万が歩合
❸1000万〜1,500万円 「②」と合わせて1000万を超えた部分に対して20%支給
※1300万売上の場合、「②」の50万と
1300万-1000万の差額300万の20%の60万を合わせた110万が歩合として支給される
❹2,000万円以上「②」「③」と合わせて2000万を超えた部分に対して30%支給
※2700万売上の場合、「②」の50万と「③」の100万と
2700万-2000万の差額700万の30%の210万を合わせた360万を歩合として支給

業界的にめちゃめちゃ歩合が多いわけではありませんが、

  • 営業事務などの間接部門が充実
  • 広告費が潤沢で反響がある程度自動的に入ってくる
  • 教育体制がしっかりしている

など、営業マンが売上に集中できる環境があるため、足切ラインを下回る営業はほぼいなく全体のベースが高い不動産会社様の例となります。

荒川 竜介

平均年収は500-600万程度、トップセールスで1000万程度とのことでした

【実例②】サポートは少ないが高歩合(関東地方・社員10名以下)

給与体系

基本給月給18万円
歩合支給毎月の売上100万円超過分に対して一律30%

歩合の仕組み

❶月次売上0-100万支給ゼロ※足切ライン
❷月次売上100万以上売上に対して一律30%支給
※200万の場合、売上に対して30%のため60万支給

この不動産会社の場合、月に100万を超えれば売上全額に対しての歩合が支給されます。【実例❶】の会社と比較するとシンプルなインセンティブ設計となっています。

本歩合制度の場合、売上100万を超えるかが天国と地獄の境目になります。

なお、採用は経験者を前提としており、案件は基本自分で持ってくることを前提としています。

その他サポートは多少ありますが、「A」の会社と比べると比較になりません、、

平均年収は800万程度ですが、数字が上がらない営業は生活が苦しく辞めていくためできる人だけ残り平均が上がっています。

荒川 竜介

なお、トップセールスは1500万を超えてくるようです。

不動産売買仲介未経験者におすすめの歩合制度とは?

どちらの制度にもメリット・デメリットはありますが、未経験から不動産売買仲介営業に挑戦するなら「固定給+歩合」+サポートありの環境を選ぶのが無難です。

理由はシンプルで、不動産売買仲介営業は成果が出るまで半年〜1年ほどかかることが多いためです。

完全歩合制だと、この「修業期間」に収入ゼロで心が折れてしまう方が多いからです。

まずは手厚い教育や案件提供がある環境で経験を積み、ある程度自信と実力がついた段階で高歩合の環境にチャレンジするのが理想的なステップアップでしょう。

歩合制度は会社ごとに大きく異なる

不動産業界は他業界に比べて給与体系のバリエーションが豊富です。

「基本給いくら?」「歩合の還元率は?」「足切りラインは?」といった質問は、面接時にしっかり確認するべきです。

面接時に確認すべき質問例
  • 「トップセールスの年収レンジは?」
  • 「トップセールスの年収レンジは?」
  • 「固定給は今後もずっと続きますか?歩合とどのように連動していますか?」
荒川 竜介

こうしたポイントを事前に押さえることで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

まとめ|歩合制度を味方につけるには「戦略」と「準備」が必要

不動産売買仲介営業で稼ぎたいなら、歩合制度を正しく理解することが何より大切です。

「歩合が高い=稼げる」ではなく、「稼ぐ仕組みが整っていて、自分に合っているかどうか」が重要です。

特に未経験でのチャレンジを考えている方は、

  1. 固定給+歩合制の会社でまずは実力をつける
  2. 自信がついたら高歩合の環境にチャレンジする
    この2ステップでキャリアを考えてみてください。

面接時には給与だけでなく、サポート体制や教育制度、案件の獲得手段までしっかり確認しましょう。

「自分にとってベストな働き方とは何か?」を軸に、後悔のない選択をしてください。

不動産売買仲介営業は、しっかり戦略を立てれば誰にでも高収入のチャンスがある職業です。あなたの一歩を応援しています。